私が若かった頃、私の仕事上の悩みや無駄話に付き合ってくださった先輩がいました。手ごろで美味しい食事を食べながら、世間話から仕事上の悩みに耳を傾けてくれて、「こうしなさい」ということはなく、「そうだね、そういうふうに感じる人もいるね」とか「いろいろ考えてるね」とか、大きくは褒めないけれど、ちょっと気持ちを底上げしてくれるような一言を言ってくれる先輩がいました。

食事はというとなぜか麺類だったことを思い出します。

オイスターソースが隠し味のあさりのパスタ。透明なスープのエビそば。小鍋仕立てのかも南蛮。など、味は思い出すけど、共に小一時間話した内容は思い出せません。

ただ、聞いてくれる人がいたことが今では本当にありがたい思い出です。自分は同じように話を聴くことができる先輩にはなれなかったこともわかります。

穏やかな人生だけではなかった方でしたが、すでに鬼籍に入られています。

施設に入るお年寄りにも愚痴や悩みを打ち明ける時代もあったでしょう。また先輩になって「まあ、食べな」なんて言いながら話を聴いてあげた時代もあったと思います。

一人の人生にはいくつもの奇跡と偶然が重なって、彩を与えてくれます。

大先輩のお話を伺うことが多くなりましたが、その方の人となりを知ることができる、今の仕事は学ぶことが多いです。